日時:2024年5月7日(火) 10:30~12:00
場所:新田児童館/集会所
参加者:新田児童館児童職員 19名
講師:齋正弘(元宮城県美術館 教育普及部長・SOAT理事/金属彫刻家)
サポート:SOAT2名
活動内容詳細:
新田児童館からSOATへ事前に伝えられた質問事項に対して講師の齋さんに話しをもらうという形式で実施した。
齋さんの話の概要は以下の通り。
・児童館の職員という理想の形があり、それに近づこうとする人が多くなったような気がす るが、人はそれぞれ別に生きる方が良いのではないか。今の教育では皆が同じ方向を向くのが良いという教育をしている。
・美術と図工はイコールではない。図工は絵を描いたりものを作ったりするが、美術は哲学的なもので、絵を描いたりすることではない。
・日本の博物館は「勉強」をしてしまうように作られている。イギリスの戦争博物館(Imperial War Museums)に行くと地下の防空壕にぎゅうぎゅう詰めにされ砲弾の爆発音がリアルに聞こえる。体験によって学ぶ博物館と知識の展示による博物館の違いがある。
・1981年当時43都道府県がすでに美術館を保有していた状況で宮城県も美術館を建てたが展示する作品の収集に苦慮した。最初に収集できたのがカンディンスキー(Wassily Kandinsky:抽象絵画の創始者)だった。ある意味、抽象絵画から教育をスタートできる。
・子ども達と活動を始めるには何もしないこと。部屋の隅にじっとしていると寄ってくる子どもがいる。子どもたちを「集めて」何かするのではなく、子どもたちが「集まる」という状況を作ることから始める。
・遊びでも何でもそれをやるのは子どもたちであって大人ではない。遊ばせたいと大人が思うのではなくて子どもが遊びたいと思うこと。それが本来のワークショップ。何かをさせたいと思うのではなく、何かをやりたいと思ったら、その行動をコントロールしたり支援したりすれば良い。
・最近出てくる言葉にファシリテーターというのがあるがあれは太鼓持ちと同じ役割だ。相手がやりたいことをまとめたり、発展させたりしてやる働きを持った人だ。ワークショップに関わる大人も太鼓持ちであれば良い。
・遊びを提案しても拒否して遊ぼうとしない子どもへの対応は大人が特に気にせず何もしないことだ。大人がイメージする「遊び」と今目の前にいる子どもの中にある「遊び」は違う。例を出せば、赤ん坊は天井を見ているだけにみえても、それが遊びになっている。
・子どもたちと活動するときに一番気にかけていることは「生き延びる」ことだ。けがをするのは痛いだけ。なのであまり気にはしない。
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